第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
その瞬間
彼女の表情が悲しげに歪んだ
『………私の……男…?………酷いよ…圭介………何でそんな言い方するの…』
マズい言い方をしてしまったかと
もう一度言い直そうとしたが
適当な言葉が咄嗟に出てこなかった
「……ぁ…………いや……その…」
『…………やっぱり…………許せないよね……私のこと…』
「……っ…別に………オレが許すとか許さねーとか……そういう問題じゃ…ねぇだろ…」
『……』
「…………オマエがそいつを選んだんなら………オレは…邪魔はしたくねぇ………ただ、ちょっと…」
" 心配で… " と続けようとした言葉を
レイナの鋭い声が遮った
『ふざけないで‼︎』
「…っ…」
『私が選んだと思ってるの⁈…っ…そんな訳ないじゃない‼︎』
「……オイ………どうしたんたよ急に…」
『………ホントにひどい………あんまりだよ圭介……』
涙を浮かべた目で俺を睨み
震える声でそう言うと
彼女は背中を向けて
そのまま走って行ってしまった
何が起こったのか理解できなかったけれど
彼女を傷付けてしまったことは
いくら鈍感な俺でもよく分かった
信じてたものに裏切られ
全てに絶望したような
悲しげな瞳
彼女のあんな顔を見たのは
初めてだった
「……」
その時
突然、千冬の声が聞こえた
「…っ…場地さん!…ここに居たんスか…」
「………千冬…」
「……いま走ってったの…レイナさんですよね?」
「……」
「…追いかけなくていいんですか?…なんか、泣いてるみたいでしたよ⁇」
すぐに行かなくてはと思ったが
追い付いたところでどうしたらいいのかが分からず
俺は結局、その場を動けなかった