第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
それからすぐに
学校は春休みに入った
今度こそ無事に進級できた俺は
やっと2年になることができた
" レイナと話をする " と三ツ谷には言ったものの
俺はどうしたらいいのか分からずにいた
わざわざ自宅から離れた場所にあるファミレスに
夜、化粧をして行く理由など
改めて聞く必要もないくらい分かりきっていた
それでも
「大切な人のことを心配するのは当然だ」という三ツ谷の言葉が
俺の背中を押した
「……オイ…………ちょっと……話、いいか…」
新年度が始まってすぐの放課後
3年の昇降口から出てきたレイナを呼び止め
校舎の陰に連れて行った
『……何…』
俯きがちに俺についてきた彼女が最初に言ったのは
感情の無い、そのひと言だけだった
2人の間に壁を感じさせるようなレイナの態度に
戸惑いながらも話を切り出す
「………ぁ……あのよー………〇〇町にある□△ってファミレス…知ってんだろ…?」
俺の言葉に
彼女はゆっくりと顔を上げる
「……あそこで……夜遅くにオマエのこと見かけてよぉ…」
『……』
俺を見つめる表情からは
彼女が何を考えているのか全く読めなくて
心を閉ざされてしまっているんだと思うと
胸がチクリと痛くなった
もう
とっくに割り切ったはずなのに
まだこんな事で傷ついている自分がいる
そして俺は
無理やり閉じ込めていた本当の気持ちに
気が付いてしまった
(………なんだよ………全然……諦められてねぇじゃねーか…)
そう思った途端
自分の未練たらしさに呆れて
苦笑いが込み上げてきた
『………何……笑ってるの…』
「……いや………悪ィ…何でもねぇ…」
『……』
「……ただ……あのファミレスでオマエのこと見かけたから……聞いてみようと思っただけだ…」
『………何を?』
女々しい気持ちを悟られないように
あえて軽い口調で聞く
「……オマエの男……あの辺に住んでんのか?」