第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
その瞬間
思考が一気に動き出した
飛び退くようにして彼女から離れる
『……圭介…?』
身体を起こしたレイナに
頭を下げて言った
「…っ…ゴメン‼︎…オレ、知らなくて…」
『………ぇ…?』
不思議そうな顔をしていた彼女が
ハッとした顔でブラウスの胸元をおさえた
『……違…う………違うの圭介…これは…』
「隠す事なんかねーよ」
『…っ…』
「……オマエにそういう相手が居るのなんて…当たり前のことだろ………それなのに……俺の見舞いなんかに来てくれて…ありがとな…」
『……圭介…お願い……聞いて…』
動揺している姿を
彼女には絶対に見られたくなくて
震える声を
俺は冷たく遮った
「悪い、レイナ………今日は…もう帰ってくれ…」
「…っ…圭介…」
「…飯は……後でちゃんと食うからさ……………頼む…」
顔を背けていると
レイナは立ち上がり
静かに部屋を出て行った
玄関のドアが閉まる音が聞こえても
俺は動けないでいた
(……レイナに男ができないなんて……どうして思ってたんだろう……………フリーになったアイツが…周りから放っておかれるわけがないのに…)
「…バカだな……オレ…」
何だか妙に納得した気分になって
俺は呟くように言った
「………………だっせぇ…」
この時、レイナは何度も弁解しようとしていた
けれど
俺は最後まで聞かなかった
家を出て行ってからしばらくして送られてきたメールも
内容を読むのが怖くて開くことができなかった
頭では当然だと理解できていても
付き合ってる男がいると認めるような言葉を告げられたら
自分がどうなってしまうのか想像がつかなくて
俺はまた、彼女から逃げた
その後の数日間
レイナからの電話にも出ることができなかった
自分の受けているショックの
あまりの大きさに戸惑いながら
それでも俺は
少しずつ、現実を受け入れようとしていた