第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
別れ話をしたあの日
友達に戻る道を選んだ俺達の関係は
その後、正解が分からないまま発展していった
行き着いたのは
" 付き合い始める前よりは親密だけれど、これ以上先へ進むことのない " 関係
あんな風に別れてからも
俺のレイナへの想いは膨らんでいく一方だった
何もなかった頃には戻れない
もう
やり直すこともできない
それが分かっているからこそ
自分達だけの形を
何とか作ろうとしていた
別れを切り出しておいて
身勝手なのは分かっていた
けれど
" たとえ別れたとしても、レイナが特別な人だという事実は何も変わらない "
繰り返しそう自分に言い聞かせて
俺はこの状況を受け入れてくれた彼女の優しさに甘えた
こんな俺のことをいつまでも見捨てられないでいるのは
同情の気持ちからなのだろう
レイナはきっと
それを愛情だと勘違いしてるのだ
その事を考えると
少し虚しくなったけれど
彼女が寄り添ってくれていることを実感できるのなら
その理由がたとえ同情心からのものでも
もう、構わないと思っていた
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レイナと別れたあの夜
数ヶ月ぶりに特攻服に袖を通し、東卍の集会へ参加した
そして
集会が終わった後
俺はたったひとりで単車を飛ばした
向かったのは
初めてのツーリングで一緒に行った竹芝
思い出がまだ残っている桟橋の上に立ち
目を閉じて
彼女の名前を呼んだ
「……レイナ…」
けれど
返事は聞こえなくて
瞼の裏側にこびりついた泣き顔の彼女が
ただ静かにこちらを見つめていた