第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
2月のある朝
家に学校の担任が訪ねてきた
母親は「こんなん聞いてねーぞ」と渋る俺を部屋から引きずり出し
台所のテーブルで待っている担任の前に座らせると
自分も隣に座った
「…何度かお母さんには伝言を頼んだんだけど…中々学校に来るのが難しいみたいだから……お母さんにも協力してもらって…お家で話をさせてもらう事にしたんだ…」
「…話?」
「……キミの…これからの事だよ…」
夏休み前までしか登校していなかった俺は
年間の出席日数が足りていないらしかった
義務教育である以上、このまま進級もできるそうだが
本人が希望すれば、新しい顔ぶれの中で一年生からもう一度やり直すことも可能だと言われた
「…お母さんとも話し合って…よーく考えて決めて欲しい…」
そう言って
担任は帰って行った
玄関先で担任を見送った母親は
台所へ戻って来ると、俺の向かいに座った
「先生が仰ってたことの意味は分かったわよね?」
「……あぁ…」
「…それで………進級か留年か……圭介はどっちにしたい?」
「…………別に…どっちでもいい…」
「…どっちでもいい…って…」
「どーせ学校なんか行かねーんだから…どっちだって同じだろ」
席を立った俺の手首を
母親が掴んだ
「待って…まだ話があるの…」
「…何だよ」
「……この部屋……引っ越すことになった…」
「…ぇ…」
「……引っ越し先は…同じ学区内にある団地……今月中には…ここを出なくちゃいけないの…」
「…何でだよ…まだ1年も経ってねーのに…」
そう口にした時
頭の中にある考えが浮かんだ
「…………もしかして……オレのせいか…?……オレがあんな事件起こしたせいで…居られなくなったのかよ…」
母親の顔が
ピクリとこわばった
「……周りから何か言われたり…嫌がらせされたりしてんのか…?」
「……」
「……っ…誰だよそいつ!…オレがぶん殴ってやるよ!」
「そんなことは…別に気にしなきゃいいのよ…」
「…何でだよ‼︎何でかーちゃんがそんな目に合わなきゃいけねーんだよ‼︎」
俺は怒りに任せてテーブルを強く叩いた
「やったのはオレなのに‼︎かーちゃんは関係ねーだろーが‼︎」