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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②




あの時
どうして止められなかったんだろう



真一郎君に
危険を伝えられていれば


一虎に
「この人はマイキーの兄貴だ」と叫んでいれば



こんな事にはならなかった



あの時

それができたのは俺だけだったのに






咄嗟に声が出せなかったとしても



真一郎君を
あの場所から突き飛ばしていれば


一虎に
抱きついて止めていれば




俺が

代わりに殴られていれば…





考えの行き着く先は
いつも決まってそこだった





(……俺が…殴られればよかったんだ……)




暗い部屋の隅で
身体を丸めて

そんな事を何度も考えていた





何十分

何時間


何日そうしていただろう



玄関のチャイムの音が聞こえて
少しした後

部屋の外から母親の声がした


「……圭介………レイナちゃんが…会いに来てるの…」




その瞬間

突然、閉ざしていた気持ちのフタが開いて
さまざまな感情が溢れ出した




彼女のことを
忘れていた訳じゃない



未だに
現実を受け入れきれずにいる中


そんな状態のままでは

どうしても
レイナのことを考えたくなくて



考えた途端
全てが崩れ落ちて

自分が壊れてしまいそうで



俺は

ずっと
逃げていたのだった




部屋のドアが少しだけ開けられ
細い光が差し込む


「……圭介…?」


母親の声に
弾かれたように耳を塞いだ




しばらくそうしていると

差し込んだ光が消えて
また暗がりに戻った



耳元から手を離すと
玄関の方から母親の声が微かに聞こえてきた


レイナの返事は
何も聞こえなかったけれど

その後すぐに
玄関のドアが閉じられる音がした



外の階段をゆっくりと降りていく小さな足音が響いて

俯いているレイナの姿が頭に浮かんだ





喉の奥が詰まったように苦しくなり
熱い雫がポロポロと溢れ落ちていくのが分かった



顔を伏せるようにして
床に額を付けると
口元から悲鳴のような嗚咽が漏れた




どんなに声を上げても
彼女の小さな足音はいつまでも消えなくて


俺はもう一度

強く耳を塞いだ








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