第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
「…そんな悲しい事言うなよ…」
瞳の中に狂気が宿っているように見えて
ゾッとした俺は一虎を強く抱きしめた
「この先、どんな地獄が待ってても…オレは最後まで一緒だから‼︎」
その言葉が
耳に届いたのかは分からない
それからも
一虎はずっと
焦点の合わないような目をして
ブツブツ独り言を言っていた
警察が大勢来て
捕まった俺達は両手を拘束された
店の外に停められたパトカーへと歩いて行く途中
これはきっと悪い夢だと
自分に言い聞かせていた俺の耳に
「場地‼︎!」と呼ぶ声が聞こえた
見ると
息を切らしたマイキーが
ぼう然とした顔で立っていた
「どうした?」
不安そうな声に
涙が込み上げる
「何があった?」
そう言ったマイキーに
俺は泣きながら謝ることしかできなかった
「……盗みを計画したのも……逃げるために殺したのも……全部2人でやった…」
顔を見られた俺のことを助けようとして
一虎は真一郎君を殴ったのだから
その罪も当然、同じものだと思っていた
けれど一虎は
「盗みの計画も、実行も…店の人を殺したのも全て自分がやった……一緒にいた仲間は自分の事を止めようとしてたけれど、強引に頼んでついてきてもらった」と自供したらしい
俺を庇い、ひとりで罪を背負った一虎は
勾留され
今後、裁判を受けることになると聞いた
反対に
俺に科されたのはごく軽い罰だけで
間もなく家へ帰されてしまった
自宅に戻った俺を待っていたのは
してしまったことと出来なかったことをひたすら後悔する日々だった
食べ物はろくに喉を通らず
夜も眠れない
カーテンを閉め切った薄暗い部屋の隅で
俺はずっと
うずくまるように膝を抱えていた
頭の中に繰り返し浮かぶのは
一虎が真一郎君を殴った
あの恐ろしい瞬間だった