第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
『………金魚が死んじゃったの…』
8月13日
昼過ぎに電話を掛けてきたレイナは
とても悲しそうな声で言った
『………昨日まで元気に泳いでたのに……今朝起きたら……水の上に浮いて…動かなくなってた…』
夕方にいつもの公園で待ち合わせをして
人に踏まれないよう、隅の方に金魚を埋めた
「……そんな寂しそうな顔すんな……来年の祭りで…またとってやるから…」
『………ウン…』
「……」
『…………圭介……今日は一緒に居られる?』
「……あー……悪ィ………これから…一虎と会う約束してんだ…」
『………そっか…』
「…っ…でも断るよ……今日はレイナと居る…」
『…そんな……先に約束してたのに…断るなんて悪いよ……私なら大丈夫だから……一虎君の所に行って…?』
「……レイナ………………ぁ……明日は?用事あるか?」
『…ううん…何にも予定無い…』
「…じゃあ、明日朝から会おう?…単車でどっか行こうぜ」
その言葉に
曇っていた彼女の表情が少し明るくなった
『ホント?…嬉しい…』
「……オマエに渡したい物があるんだ……こないだマイキー達と海行った帰りに買って…特服のポケットに入れっぱなしにしてたワ……明日持ってくる…」
『ありがとう…楽しみにしてるね』
明日の朝8時にこの公園に迎えに来ると約束して
その日
俺たちはそのまま別れた
その夜
ゴリゴリに改造したKH[ケッチ]の後ろに俺を乗せて、一虎が連れて行ったのは
とあるバイク屋
ショーウィンドウの向こうに置かれた
" HONDA CB250T " 通称 " バブ "
マイキーがずっと欲しがっていたその単車を見ながら
一虎は俺に「コレ 盗んじまおう」と言った