第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
1時間ほどして、彼女から届いたメールには
今日の礼と、無事に水槽を設置できたという報告が書いてあった
さっきの話に触れないのは
何か言いたくない理由があるのかも知れない
そう思うと俺の方からも切り出しづらくて
結局、彼女の兄のことは何も聞かないまま
その夜のメールのやり取りは終わった
次の日
祭りでレイナに絡んだ連中がいるチームのたまり場を突き止め
6人で奇襲をかけて全員ボコボコにした
「……オマエら……何モンだ…」
リーダーらしい奴が、地面に這いつくばったまま俺達を見上げると
空気を震わせるようなドラケンの大声が響いた
「オレ達は " 東京卍會 " だ!仲間を傷付ける奴らは鏖[みなごろし]にしてやるからよーく覚えとけ‼︎」
それから数日後
三ツ谷から特攻服がようやく仕上がったと連絡を受け
渋谷の喫茶店に集まった
揃いの特攻服にテンションが上がった俺達は
それを着てスクランブル交差点で記念写真を撮ったり
単車で湘南の方までツーリングがてら遊びに行ったり
その先で絡んできた現地のチームをぶっ潰したりと
賑やかな毎日を過ごした
どんなに相手が大勢でも
東卍は負け知らずで
何よりも
総長のマイキーが " 無敵 " にかっこよくて
俺達のチームが、きっと " 時代を創る " と
みんなが確信していた
海へ行った日の帰り道
海岸線を東京方面へ戻る途中
立ち寄ったスタンドでトイレを借りた時
レジの横にあったイルカのキーホルダーが目に止まった
淡いピンク色のイルカと水色のイルカの2つを買って
水色の方を自分の単車の鍵に付ける
(……ピンクの方は…今度レイナに会う時、みやげだと言って渡そう…)
最近、喧嘩や集会ばかりで
前よりも一緒に時間を過ごせなくなった事を
レイナは少し寂しがっていた
俺は特攻服のポケットにピンク色のイルカのキーホルダーを入れ
近いうちに2人きりでどこかへゆっくり出掛けようと考えながら
ゴキのエンジンをかけた