第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
夏休みに入ると、集会や喧嘩で一層忙しくなり
俺はほとんどの時間を東卍のメンバー達と過ごしていた
けれど
8月の初めにある武蔵神社の祭りの夜だけは
メンバーからの誘いを断り
レイナと2人きりで行こうと心に決めていた
7月にあった花火大会の時は単車だったので
彼女の浴衣姿を見るのはこの日が初めてだった
いつもと雰囲気の違うレイナが待ち合わせ場所に現れた時から
俺はずっとドキドキしていた
慣れない下駄を履いて転んでしまいそうな彼女の手を取って
ゆっくりと階段を上る
鳥居の下をくぐり
参道の光の中を歩き始めた瞬間
後ろからドラケンの声が聞こえた
「アレ?場地、来てんじゃん」
「……………げ。」
「…何だよ場地〜…都合悪ィってオレらの方断っといて、デートかぁ」
一虎がニヤつきながら肩を組んでくる
「何々、場地の彼女⁇」
「マジかよ…メチャメチャかわいーじゃん』
「抜けがけかぁ?紹介しろよ♪」
マイキーにパーちん、2人の妹達を連れた三ツ谷も一緒だった
俺は渋々マイキー達にレイナを紹介し、みんなで祭りを回ることにした
この頃にはもうメンバー達にもすっかり慣れ
心を開いていた一虎は、パーちんと意気投合してナンパに燃えていた
ハンターのような目をした2人を先頭にフラフラと屋台を見ている時
三ツ谷の妹がトイレに行きたがり
レイナが付き添うと言ってその場を離れた
近づいてきた一虎に
「調子、どーよ?」と声を掛ける
「ダメ。いい女は全部ヤローと一緒だワ……っつーか場地コラ!オマエ水くせーぞ!レイナちゃんと付き合ってンことオレに黙ってるなんてよぉ」
「……別に言うタイミング無かったし……そもそも言う必要なくね?」
「…冷てーなぁオイ…………それにしても…アレはヤベーよなぁ」
「?」
「……浴衣姿のレイナちゃんだよ♪…色っぽくてゾクゾクするワ」
「あ゛?」
「アハハ…そんな怖い顔すんなよ〜」
おかしそうに笑っていた一虎が
俺の耳元で囁いた
「……てかさ、俺より他の奴ら気にした方がいいと思うぜ?」