第3章 東京卍リベンジャーズ・半間修二
ガシャン
ドカッ
バキッ
大きな音がして
水色のゴミバケツが転がってくる
バケツがレイナの足元で止まった時
路地からフラリと死神が出てきた
「…あー…だりぃ…」
歩きながらポケットからタバコを取り出した死神の背中に
レイナが声を掛けた
『…あの……死神さん?』
死神は立ち止まり
振り返る
『……助かりました。…どうもありがとう』
「…あ?……誰オマエ…」
存在に初めて気が付いたような顔をしている死神に
レイナは小さな物を差し出した
『…これ…良かったらもらってください♪』
死神は
手の平に乗せられた物を見つめる
「…ナニコレ」
『チョコです♪』
それは
ピンク色の銀紙に包まれた
小さなハート形のチョコレートだった
『…それじゃ、ハッピーバレンタイン♡』
そう言って軽く頭を下げると
大通りの方へ駆け出していく
背中に背負った白い翼のコスチュームが
走る度にフワフワと揺れていた
死神は
手の平のチョコレートを見つめると
路地のゴミ捨て場にポイと放り投げた
「……だりぃ…」
そして
タバコに火を付けると
次のおもちゃを探して
雑踏の中へ消えて行った