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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第3章 東京卍リベンジャーズ・半間修二




この街の人々は
夕方前から少しずつ動き出す


花屋やクリーニング屋の配達車の横を
酒屋の台車が空き瓶をガチャガチャと鳴らしながら通り過ぎ

髭剃り前の見習いホストが
よれたスーツ姿で入り口のマットに掃除機をかけ始める

すっぴんの嬢は気だるそうな表情を浮かべ
同伴相手にメールを返しながら美容室の階段をヒールの靴音高く上っていく





新宿・歌舞伎町───


日も暮れかけて
ネオンが灯りだす頃には

街全体に魔法がかけられたみたいに
全てが煌びやかに輝き出し

光の中を泳ぐように
既にどこかで一杯引っ掛けてきた客が
2軒目を探してウロつき始める




ベニヤで出来た看板を手にした呼び込み達が
手当たり次第に声を掛ける横で

メイドカフェの店員・織月 レイナは
チラシを配っていた


『バレンタインイベント開催中でーす♪よろしくお願いしまーす♡』


笑顔を振りまくレイナに
2人組の男が話しかける


「ねーねーメイドちゃーん。君すっごいかわいーね」

「俺らと遊び行かない?」


こんな風に声を掛けられる事など日常茶飯事なレイナは
男達を笑顔でいなす


『ごめんなさーい…いまお仕事中なんですぅ』


けれど
今日の男達は少ししつこかった


「大丈夫大丈夫」

「ちょっとホテル付き合ってくれればいーんだ♪バイト代弾むよ?」

『そういうのは…困りますぅ』

「冷たい事言わないでさ…行こ行こ!」


男達は両脇からレイナと腕を組むようにして
ホテル街の方へ歩き出した


『…っ……あの……ホントに困ります……離してください』

「いーからいーから♪」


その時
前から背の高い痩せた男が歩いて来た

その男は
甲に"罰"と刺青を入れた手で右目を隠すと
嬉しそうに笑った


「あは♡おもちゃ見〜っけ」


レイナと腕を組んでいた男達が
「ヒッ」と声を上げて足を止める


「…で、出た」

「歌舞伎町の死神‼︎」


男達はレイナから手を離すと
ヘナヘナと腰を抜かしてしまった


咄嗟のことに頭が追いつかないレイナは
小さく首を傾げる


『……死神…?』


"死神"と呼ばれたその背の高い男は
地べたに座り込んでいる2人組のえり首を掴んで立ち上がらせると
そのまま路地へと入って行った



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