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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②




「……」


起きている時の大人びた雰囲気に比べて
どこかあどけなさを感じさせる
無防備な寝顔

パーカーを脱いで肩から掛けてやると
彼女の表情が一層和らいだような気がした




それからも
俺は作業を続けた

倉庫の外が少し明るくなってきた頃
レイナが目を覚ました


「…おぅ……起きたか…」

『………アレ……私…寝ちゃってたんだ…』

「……あぁ………そんな格好で寝て…身体、痛くねぇ…?」

『………ウン……………圭介……ずっとバイク直してたの?』

「…何か夢中になって…いつの間にか時間が経っちまった……今日で結構進んだぞ…」

『……フフ………………ぁ……コレ…』


パーカーに気付いたレイナが
慌てたように俺に返してくる


『……あり…がと…』

「…んー…………朝になっちまったけど……オマエん家…平気なのかよ…」

『………大丈夫………私の心配なんて…誰もしてないから…』


全然大した事ではないかのように
軽く言った彼女の笑顔がとても寂しげで
俺は何も言えなくなってしまった


「……」

『……でも……そろそろ帰ろうかな…』

「…………そうか……じゃあ…送ってく」

『いいよ…ひとりで帰…』

「送ってくよ…」


彼女の家庭にどんな事情があるのかなんて
俺には何も分からなかったけれど

せめて帰り道の間は
まだ、そんな顔をして欲しくなくて


「…オレも……もう切り上げっから…」


タオルで手を拭きながら少し強引にそう言うと
レイナの笑顔からかげりが消えていくのがわかった


『…………ウン…………どうもありがとう…』

「……」










彼女の家は
俺が転校する予定の中学の近くにある一軒家だった


全ての窓が真っ暗で
どことなく冷たい感じのするその家の鉄製の門の前で
レイナは立ち止まった


『………圭介…………ホントに色々…ありがとね…』

「……オゥ…」

『……』

「………じゃーな…」

『……ウン………それじゃ…』


2回目になる別れの言葉を交わして
オレは背を向け
もと来た道をひとり戻っていった


「……」


しばらく歩いてから
ふと振り返ると

大きく深呼吸をして
覚悟を決めたように鉄製の門を開けるレイナの横顔が
薄曇りの朝に青白く浮かんで見えた






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