第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
連れて来たのは
古びた倉庫
この場所に俺は
あるものを隠していた
『…こんな所…勝手に入っていいの?』
「……ずっと誰も使ってねぇみてーだから…大丈夫だ…」
レイナはキョロキョロと辺りを見渡しながら
後ろをついてくる
俺は倉庫の隅まで行くと、投光器を点け
そこにあったブルーシートをめくり上げて中を見せた
『……これ……バイ…ク…?』
「…GSX250E…通称 " ゴキ " って呼ばれてる…」
『……』
「…ぶっ壊れて捨ててあったのを…いま地道に直してンとこだ」
『………す…ごい……………ねぇ……触っても…いい?』
「……オゥ……別にいいけど…」
レイナは指を伸ばし
単車のシートにそっと触れた
『………カッコいい…』
「……だろ?…オレの愛車にするんだ…」
座面の凹凸をなぞるように
細い指がゆっくりと滑っていく
その様子に
俺は何故かドキッとさせられた
「…………完璧に直るには…まだチョット時間かかると思うけど……もし、動くようになったら…後ろ乗っけてやるよ…」
『……ぇ…』
単車を見ていた彼女の視線が、突然自分に向けられた事で
何でそんな事を言ったのだろうと我に返ると同時に
無性に気恥ずかしくなった
「……ぁ……嫌だったら別に…」
『ううん!嫌じゃない!』
照れ隠しの言葉を遮り
レイナは笑顔で言った
『…嬉しいよ……楽しみにしてるね♪』
工具を使って修理の続きを始めると
レイナは膝を抱えるようにして隣に座った
黙々と作業する俺の手元を
興味深そうに見つめる
カチャカチャという金属の音だけが
古い倉庫に響いた
どれくらい時間が経っただろう
オイルで手が滑り、小さなネジを落とした時
フッと集中が途切れた
我に返り、隣を見ると
レイナはいつの間にか膝を抱えたまま目を閉じていた