第11章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆(続編)
「……もしもし…」
そう言った相手の声には、聞き覚えがあった
「…………八戒……」
「………よく分かったね…」
「……」
相手の出方を伺って、黙っているオレに
八戒は言った
「………今すぐ…来て欲しい所がある………誰にも知らせずに…後もつけられないように気を付けて来て…」
そして八戒は
芝浦埠頭にある倉庫の名前を告げ
電話を切った
ペーやんからの情報がバレることが無いように
コチラからレイナの名前を出すのはやめておいた
何も知らないフリをして
呼び出されてやろう
いざという時、彼女の身を守るため
丸腰で行くわけにはいかない
クローゼットの棚から取り出したホルスターと拳銃を身に付け
ジャケットを羽織って
オレはマンションを後にした
車を走らせ
30分もしないうちに埠頭へ着いた
海に面した一角
シャッターの閉まった倉庫が並んでいる前を徐行していると
突然、車の前に人影が現れた
「……そこに車止めて…降りてきて…」
オレは
言われた通りにした
「………久しぶりだな八戒………どうした…こんな所に呼び出して…」
なるべく自然を装いながらも
怪しい動きがあればすぐに対応できるように身構えていると
八戒がオレを真っ直ぐに見つめて言った
「……………タカちゃん……オレの事…まだ信じられる?」
「………何でそんなことを聞く…」
「……」
オレの問いに八戒は答えなかった
けれど
十数年ぶりに正面から見たその目は
自分を慕ってくれていた頃と何も変わっていないような気がして
オレは
ジャケットの前を開いて見せた
「……………八戒がそう言うなら………オレはいつでも…オマエを信じるよ…」
指先で拳銃をつまみ
八戒の方へ差し出す
「……」
「……オマエは……オレの背中をまかせてた男だからな…」
「………タカちゃん……」
八戒は拳銃を受け取る代わりに「ついてきて」と言うと
オレに背を向けて歩き出した
向かった倉庫の陰には
ペーやんから聞かされた特徴と同じ車が停められていた