第11章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆(続編)
「……っ…」
微かな動揺を察した八戒が足を止めた
「…あの車にレイナちゃんが乗ってる……飲み物に入れた眠剤で…まだ眠ってる…」
「……」
「…タカちゃん……このまま…2人で逃げて?………新しい戸籍と身分証は用意したし…当面の金もトランクに積んである…」
「……八戒?……オマエ…」
「……ドラケン君の死刑が決まったことで安心した稀咲が……今度はタカちゃんの事を調べ始めたんだ………捕まる前のドラケン君と連絡取ってたことが分かって……何か企んでないかって疑われてる…」
「……」
「……警告のためにって…レイナちゃんのこと拉致するように指示してるのを…偶然聞いたんだ…」
「…そんな…」
「……それで…急いでタカちゃんの家に行って……レイナちゃんに…これから逃げるから大事な荷物だけまとめるように言ったんだけど……そのすぐ後で…マンションの下に東卍の車が停まるのが見えて………結局…何にも持たないまま…非常階段から逃げるので精一杯だった…」
「……」
「……レイナちゃん…すごく不安そうで……タカちゃんのこと心配して…パニックになりかけてたから……落ち着かせるために…眠剤飲ませた……ゴメン…」
頭を下げた八戒に
オレは言った
「……何…してんだよ八戒………レイナのこと助けてくれたのは礼を言う………でも…こんな事したら……今度はオマエが…」
「…大丈夫……オレとタカちゃんの仲はとっくに切れてるって…皆んな思ってるから………元黒龍組のオレらは…稀咲にも警戒されてない………だから安心して逃げて…」
「……」
「……オレ……ずっと…タカちゃんに謝りたかった………柚葉が大寿を刺したのはオレを守ったからなんだ……柚葉にそんな事までさせちまった自分が…心底情け無くて………あの時…オレは心の弱さを全部タカちゃんのせいにした……誰かのせいにしないと生きていられなかったんだ………それで…オレ…」
「…分かってる……もういいんだ………それに…オマエに弱味をさらけ出してもらえるような存在になれなかったのは……間違いなくオレのせいだ………本当に…すまなかったと思ってる…」
「…タ…カちゃん……許して…くれるの?」
「…当たり前だろ……ましてオレ達のためにこんな事まで………感謝してる…ありがとな…」