第11章 東京卍リベンジャーズ・三ツ谷隆(続編)
少しの沈黙のあと
レイナは小さな子供を宥めるような
穏やかな声で聞いた
『……"そんなチーム"…って言ってるようなチームに……隆は何でいるの?』
「……大切な仲間が居るんだ……自分だけ辞めるなんてことは考えられない…」
『………それじゃあ……隆がずっと言ってた夢は?…どうするの?』
心の奥に閉じ込めた想いに触れられたような気がして
オレは声を荒げた
「中卒のデザイナーで家族が養えるか⁉︎……っ…そんなのは…現実が見えてねぇガキの夢だろ…」
『……だから…諦めるの?』
レイナの声は
それでも穏やかなままで
気持ちが折れてしまわないように
オレは拳を握りしめた
「……もう…決めたことだ………仕方ねぇんだよ…」
『……私との約束は?………それもガキの約束だから……隆は諦めて捨てちゃうの?』
" 絶対に離れない "
" オレとオマエは片割れ同士だ "
そう誓った夜のことを
忘れた訳ではなかった
けれど…
「………オレのしたことが…レイナを傷付けちまうと思うと……苦しいんだよ…………自分が選んだ人生に後悔はしてねぇけど……やっぱり…オマエまで巻き込みたくない…」
『……』
「………頼むから分かってくれ…………オマエには……幸せになって欲しいんだよ……」
『………………それが……隆の本音…?』
レイナは独り言のように呟くと
オレを睨みつけた
『…ふざけないで』
「……っ…」
『…………隆ってさ……周りが思ってるよりバカだよね…………仲間のため………家族を養うため………私の幸せのため…………相手のためにって…そればっかり考えて……何で自分が幸せになる事考えないの…?…………あと、隆の居ない場所に…私の幸せなんかないから…』
彼女の声は
怒りで震えていた
『…悪いチームの幹部だからって、今更何言ってんの?…人の覚悟甘く見ないで!…隆と一緒にいるって決めた時から、そんな事とっくに考えてる!』
「……」
言葉を失ってしまったオレを
レイナは強く抱きしめた