第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
レイナが一緒に暮らすようになってから
数日が経った
これまで蘭と竜胆は、家事を全て部下や外注に頼っていたが
職と部屋探しと定期的な通院の他にやる事がなかったレイナは、世話になっているせめてものお礼に食事の支度をさせて欲しいと言った
記憶を失くしたとはいえ
以前の生活で自炊に慣れていたのであろう彼女の料理の腕は確かで
ずっと外食ばかりだった竜胆はとても喜んだ
蘭はといえば、彼女が家に来てからマンションで過ごす時間が極端に短くなっていた
竜胆には仕事が忙しいと伝えていたが
本当は家に帰ってもあまり気が休まらないというのが
大きな理由だった
ある夜
事務所にマイキーや幹部達が揃っている前で
九井が「帰りに飯食いに行かないか?」と竜胆を誘った
そこで「家に晩飯が出来てるから」とウッカリ口を滑らせてしまったが最後、竜胆は一斉に質問攻めにあってしまった
「竜胆、女いんのか?」
「は??いつからだよ」
「どんな女だ、写真見せろ」
「晩飯ってことは一緒に住んでんのか?」
「…まさか結婚!?」
「いーから、取り敢えず写真見せろ」
マイキーをはじめ、ココ、三途、鶴蝶、モッチー、明司の6人が
グイグイと乗り出してくる
「…べ、別にそーゆーんじゃねぇから!」
竜胆はそう言うと " 事故に遭った元カノを少しの間マンションにおいているだけ " と説明した
「……怪我はほとんど回復してるみたいだし、記憶の方も少しずつ思い出してきてる……そうなったら仕事もすぐに見つかりそうだって言ってるから……住む所探して出て行くのだって…もうそんなに先でもないと思う」
「…は⁇…じゃあ、昔の女の世話してやってるだけってことかよ…」
三途が信じられないとでも言いたげな口調で言う
「……まぁ…そんなとこだ……困ってたから放っとけなくてさ…」
「…なーんだ……珍しく浮いた話かと思ったのによ…」
期待外れの展開にガッカリしている5人の横から
モッチーが食い下がった
「…ヨリ戻すつもりはねぇのか?」
「……それは…無い………別れたいって言ったの…オレだし…」
「…ふーん……じゃあ相手はまだ未練あるかもな…」
「…何で?」
「…オレにはよーく分かる……フラれた方ってのはそんなモンだ…」
「……」