第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
「……そんなこと言われたんだ……九井は…六破羅出身のメンバーを恨んでるってこと?」
「……ん………まぁ……その時はオレが乾のことでアイツをからかったから…カッとなっただけかも知れないけどな…」
「えー……兄貴……まだ梵天結成したばっかなんだから…むやみに敵増やすのマジやめて…」
露骨に顔をしかめる弟に
蘭は言った
「……分かった分かった…気を付けるよ………ただ…そういうキレた時にこそ…本音ってのはポロッと出るモンなんだ…」
「……兄貴…」
ふざけたりイラつかせたりしながら相手の感情を揺さぶり
その反応を見てどんな人間か分析する
そんな蘭の慎重さに
竜胆は何度も助けられてきた
「……じゃあ…梵天で信用できるのは鶴蝶とモッチーだけなの?」
「…いや……鶴蝶のことも…オレは完全に信じてる訳じゃない…」
「……でも……兄貴…イザナと同じように鶴蝶のことは認めてたよね…」
「…あぁ……まだ天竺があった頃は、な…」
「……」
「…アイツは強いだけじゃなく良心がある……イザナという絶対的存在に対しても譲れないものを持っていて…そんな鶴蝶の事を、オレは確かに認めてた………でも今は…アイツの側にイザナは居ない……三蔵法師を失った孫悟空が…昔とは変わっていたとしても、何の不思議もない…」
「……」
「…それと…モッチーのことは13の頃からよく分からん………あんなオッサン顔してオレとタメだって言ってること自体がまず信じられない…」
「……クスクス……モッチーは…オレは好きだけどな………じゃあ…"相談役"に就いた元梵の明司は?」
竜胆がその名前を出すと
蘭は途端に真剣な表情になった
「…オレが一番胡散臭いと思ってるのがアイツだ……天竺の時の稀咲を思い出す…」
「……あの頃……兄貴、稀咲のこと良く思ってなかったよね…」
「…イザナを手玉に取ろうとしてるのは明らかだったからな……それを分かってて、敢えて利用されてたイザナのことも含めて…手放しでは従えないものを感じた………年少を出た後に何があったのか知らないが……あの時のイザナは…以前とは違ってた………オレが認めた大将は…稀咲みたいな奴の操り人形になるような男じゃなかった…」
「……」