第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
"関東事変"でイザナが死んだ後は
捕まった斑目獅音、武藤泰宏、望月莞爾と共に送られた鑑別所で
寺野南[サウス]の圧倒的な暴力によってねじ伏せられた
そして2007年
武藤を除いた4人に鶴蝶を合わせた元・天竺組の5人は
出所したサウスが設立した " 六破羅単代 " に入ったのだった
サウスは
鶴蝶でさえ敵わないほどの強さを持った本当のバケモノだった
けれど
"無双のサウス"と言われたこの男でさえも
"無敵のマイキー"は倒せなかった
"三天戦争"で負けた六破羅単代は、勝ち残った"関東卍會"にそのまま吸収された
梵のNo.2だった明司武臣も相談役として加わることになると
新たに出来上がった最強の組織の名前は " 梵天 " と決まった
梵天には"日本の闇を全て牛耳る"という黒川イザナの意志が引き継がれており
その証拠に幹部達はイザナが着けていたピアスの絵柄を身体に彫りこみ、命を懸けて忠誠を誓った
けれど
そんな梵天の上層部連中のことさえ
蘭は信用していなかった
「……三途にはあまり心を許すな…出所後に消えた武藤の事を弟分だったアイツが何も知らない訳がねぇんだ……それに加えてマイキーへのあの献身ぶりにも異常なものを感じる………三途とは逆の意味で、九井にも気を付けろ……奴はマイキーを心から慕ってる訳じゃない…あくまで損得を考えた計算の上でのことだ…」
梵天が結成されたばかりの頃
蘭は竜胆にそう忠告した
「…三途はともかく…九井は昔から割といい奴だと思ってたけど…」
大昔、不良界隈で金儲けをしていた九井とは取引相手として長い付き合いがあった
どんなに難しい依頼でも、引き受けた以上は確実に仕事をこなす
頭脳派の九井に竜胆は一定の信頼を置いてきたのだろう
反論する弟に、蘭は続けた
「…九井は、黒龍8代目総長時代にイザナの側近だった " 乾 青宗 " と深い繋がりを持ってる……イザナの指示で、その頃東卍に属してた2人のうち九井だけを天竺に引き抜いてからは関係が切れたと言われてるが…本当のところは分からない…………三天戦争の前に六破羅単代が既にカタギだった乾に手を出した時の話を持ち出して " 今度乾を巻き込んだらオレは抜ける…オレが抜けたら梵天は終わりだ "…と言ってきた…」