第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
酒に強い鶴蝶が
シラフの時と何も変わらない様子で竜胆に聞く
「マイキーと三途も一緒だったんじゃないのか?」
「…三途がマイキー送ってそのまま帰るって言うから、現場で別れた」
「……そうか…じゃあ、今日はもう事務所には戻って来ないな…」
「…なんだ……三途が居ないんじゃ…蘭が寂しがっちまうなぁ…」
赤ら顔でガハハと笑う望月に
蘭が言った
「……バーカ……オレは竜胆が居りゃいーの……な、竜胆♪」
「…っ…だぁーから!頭撫でんなってぇ……ココ…席替わってくれよ…」
「無理」
「…それじゃ三途呼び出してくれよ〜…アイツが居ねぇとオレがオモチャ役にされんだろ…」
「…竜胆はかわいーから仕方ねーんだよ………あー…オマエが隣にいると酒がうめぇや…」
「兄貴⁈…そのワイン、モッチーがオレに注いでくれたやつだから!」
「…へーいへい……このグラスが空になったら終わりにするな〜」
「キリがねえっ」
「……竜胆〜…もう諦めろ……オマエの兄貴は誰の言うことも聞かん…」
皆から色々言われながらもヘラヘラと酒を飲んでいる蘭を見ているうちに
竜胆は、ふと梵天を結成したばかりの頃のことを思い出した
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蘭は
元来、他人を信用しなかった
自分には竜胆が居て、竜胆には自分が居ればそれだけでいいという考えの持ち主で
六本木を仕切っていた時も
「揃いの特攻服を着ているだけで仲間だなんて、そんな考えは馬鹿げてる」と言って
敢えてチームのようなものは作らなかった
"弱者は強者に従う"
赤の他人と繋がる手段として
暴力による明確な主従関係というものが
蘭にとっては何よりも確かに思えたのだろう
そんな蘭が認めた男が
年少で出会った黒川イザナだった
イザナの規格外の強さを目の当たりにした蘭は
彼に憧れ、"大将"と呼んだ
抗争の規模は次第に大きくなり
チームに属さなければ生き残れない時代になったこともあって
イザナが"天竺"を結成したタイミングで
灰谷兄弟もそこへ加入した