第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
それから
数日が経った
初めて本気で身体を重ねて以来
蘭はレイナのマンションを訪ねておらず
" 会いたい " という彼女からのメールも
そのまま放置していた
自分の気持ちを認めてしまった以上
もう弟のフリを続けることはできない
"どんな結果をもたらそうと、次に会った時には真実を伝える"
覚悟は固まりつつあった
そんなある夜
仕事を終えた蘭は
事務所のソファに座ってボンヤリとタバコを吸っていた
廊下を歩く靴音が近づいて
ドアが開き
梵天の金庫番・九井が入ってくる
「おつかれ…まだ帰んねぇの?」
「…あぁ…」
「もう仕事終わったんだろ?…ぁ…竜胆待ってるのか…」
「……別に…そーゆーワケじゃねぇ…」
「……?……ケンカでもした?」
「……ココチャン……オレらがケンカなんかすると思うかぁ?」
「…………だな。………そうだ…もし時間あるなら、今度三途に任せてるクラブの系列店で使おうかと思ってるワイン…試飲してみてくれないか?」
「んー」
九井はワインのボトルを持って来ると
取り出したナイフで封を開け
ワイングラスに注いだ
蘭はグラスを手に取り
時間をかけてテイスティングする
「…ん……今回のも悪くないんじゃないか?」
「……そうか…じゃあ一括で発注かけとく……この間の交渉相手との繋がりで、まとまった金になるルートが見つかったんだ…」
仕事熱心な九井は、早速自身のPCから一本のメールを送り
ワイングラスを手にソファへ戻ってきた
蘭が注いでやると
色や香りを確かめた後、少量を口に含んでゆっくりと味わう
「……うん……やっぱりアンタが言うなら間違いないな……こういうのは…他のバカ舌連中には任せられないから…」
「…フッ……そりゃそうだ…」
フロント企業の経営状況や先日の襲撃について話しながら飲んでいるうちに、外から幹部の鶴蝶と望月が戻ってきた