第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
『……私……何か大切なことを忘れてるような気がする…』
行為の後
蘭の腕に包まれながら
レイナは独り言のように言った
「……」
何も答えられないでいると
彼女はゆっくりと顔を上げる
『…………でも……それでもいい……………これ以上…何も思い出せなくても…』
「………レイナ……」
潤んだ瞳が
蘭を捉えた
『……アナタさえ居れば………私はもう…過去なんか要らない…』
引き寄せられるまま
蘭は唇を重ねた
触れ合う唇から繰り返し漏れ聞こえる
『愛してる』という言葉が
柔らかな蜘蛛の糸のように
身体中に絡みついていくのを感じた
全身を捕らわれ
抗うことを諦めた蘭は
心地良い浮遊感の中で
そっと呟いた
「……レイナ…………オレも…オマエを愛してる…」