第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
ゆったりとしたメロディに合わせて
身体を揺らす
『……これ……多分…ママが好きだった曲なの……子供の頃…よく家で流れてた…』
そう言って寂しそうに微笑むと
レイナは蘭の首に腕を回し
身体を預けた
「……」
甘い香りに誘われるように
蘭は細い腰を引き寄せる
抱きしめる腕に力を入れると
合わせた胸に彼女の鼓動を感じた
微かに触れ合う頬が少しくすぐったくて
顔の向きを変え、軽く口付けると
腕の中のレイナがゆっくりと顔を上げ
瞳を覗いた
ひかれ合うように唇が重なる
優しく啄むだけのキスが心地良くて
感覚を味わうように
蘭はそっと目を閉じた
『……アナタに愛されてた時のこと…思い出せたらいいのに…』
広い胸に顔を埋めながら
レイナが小さな声で言った
気が付くと
もうレコードは止まっていて
静かな部屋の真ん中で
2人はただ抱きしめ合っていた