第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟
あの時の狂気じみた快感が忘れられなかった蘭は
それからも何度かレイナの部屋を訪ねていた
毎回、蘭自身は服も脱がずに
裸にした彼女をソファや床の上に押し倒し
快楽だけを求める
玄関で
立ったままシタ事もあった
そうすることで
自分の中に芽生えてしまいそうな恐ろしい感情を、ギリギリ抑えているつもりだった
欲望を吐き出すだけの関係を望んでいることが伝わってからも
レイナは蘭を受け入れた
好きだと言われた後の返事もうやむやにしたままだったが
その話題が蒸し返されることは、今のところ無かった
蘭はこれまでずっと
恋愛などの煩わしい執着心は一切無視して女と関わってきた
割り切った関係は、どこかスポーツのようで
深く関わらないぶん後腐れもない
特定の相手を作らない身軽さも心地良く
自分の性格に合っているような気がした
絆や愛情を感じるのは
弟だけで充分だった
その気持ちは
何も変わってはいない
ただ
相変わらずレイナは蘭を弟の名で呼んだ
絶頂に身体を震わせながら
鼻にかかった声で甘えるように"竜胆"と繰り返す
その姿に総毛立つくらいの興奮を覚えていたはずの彼は
いつしか
心のどこかで物足りなさを感じるようになっていった