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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第9章 東京卍リベンジャーズ・灰谷兄弟




『…あのっ…』


小さな声にゆっくりと振り返る



勝気そうな黒い瞳

その女の顔には見覚えがあった



「……」

『…突然すみません…』


そう言って女が近付いてきた時
蘭はようやく古い記憶を思い出した


昔の印象とだいぶ雰囲気は違っていたが
彼女は、まだ兄弟2人で六本木を仕切っていた十代の頃に弟の竜胆と付き合っていた " レイナ " という女だった


何故こんなに時間が経った今でも覚えているのかというと
当時、竜胆が家に遊びに来ていた彼女の名前を事あるごとに呼んでいて
側で聞いていた蘭がノイローゼになりかけたからだった



『…私たち……どこかで会ったことありませんか?』


古臭いナンパの常套句のようなセリフを言いながら
彼女は蘭を見上げた


(…あの頃は派手なメイクをしていたが…素顔も割と整ってんだな…)


そんな事を思いながら
蘭は言った


「…おいレイナ…昔付き合ってた男の顔も忘れたのか?…白状な女だなぁ…」


冗談で言ったのに
女は一向に笑わなかった


「……」

(……は?…コイツこんなノリ悪い女だったのかよ……竜胆、かなり引きずってたけど…別れて正解だわ…)





何とも言えない間があってから
女が少し慌てたように言った


『私のこと、知ってるんですね⁇』

「…そりゃ、知ってるけど…」

『あなたの名前、教えてもらえませんか?』






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