第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
暗闇に慣れてきた目が
レイナの潤んだ瞳を捉えた
「……レイナちゃん…」
『……別に1番じゃなくてもいい……乾さんが寂しい時だけでいいから……私を側に居させてください…』
乾はレイナの身体をそっと抱き寄せた
「………ダメだよ…?……女の子がそんなこと言ったら…」
宥めるように彼女の背中に手を置く
「……………ゴメン………ハッキリしないオレのせいだね…」
『………乾…さん…?』
乾はゆっくり深呼吸をすると、静かな声で言った
「………レイナちゃんは……オレにとって…すごく大切な人だよ…」
『……っ…』
「………でも……オレにはもう一人、大切な人がいる…」
『……』
「………小さい頃からずっと一緒だったんだ………そいつ……ココは……オレの姉貴…赤音のことが好きだった…」
『……ぇ…』
「…………小学生の時…両親の留守中に家が火事になってね………ココは…燃えてる家に飛び込んで……ものすごい炎の中……オレを見つけて…助け出してくれたんだ…」
『……』
「……息が出来なくて…気を失いかけながら……アイツにおぶわれて…外に出た……………オレを地面に降ろした後…ココが言ったんだ………" 赤音さん、もう大丈夫だよ "…って…」
身体の震えを抑えるように
乾は抱きしめる腕に力を入れた
「……その後…レスキュー隊の人が来て……赤音は一命を取り止めたけど…火傷の治療には大金が必要だった………それを聞いたココは…今度はその金を用意するために必死になって………………でも……結局…赤音は……」
『……』
「………赤音が死んだ後も…ココはオレと一緒に居てくれてね………オレはいつの間にか…それが当たり前みたいに思ってしまってたんだ………けど…そうじゃなかった……………ある時…アイツはオレの側を離れていった…………それっきり…ずっと会ってない…」
『……』
「………ココがオレにとってどういう存在なのか…言葉では上手く言えないんだ………でも…本当に大切な人だし……オレの命はアイツのモンだと思ってる…」
乾は腕の力を緩めると、レイナの瞳を覗いた
「………分かって…くれたかな…」