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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗




「……」

レイナの手は昨日と同じように冷たくて
乾はまた繋いだまま上着のポケットに突っ込んだ



彼女の家までの道を
ポツリポツリ話をしながら歩く

ゆっくり歩いたつもりだったのに
あっという間に着いてしまった



ポケットの中の温もりが離れた瞬間
乾は胸が苦しくなった


『……どうもありがとうございました…』

「…うん」


(……この苦しさは今だけだ……時間が経てば…だんだん忘れていく……)


そんな風に自分に言い聞かせながら
乾は笑顔を作った


(………本当に…そうだったか?)


九井と最後に会った夜のことを思い出す

時間が経てば忘れられるなんて
そんなことはないと自分が一番よく分かっていた


(……でも……これ以上深く関わってはいけない………今のままの関係だって…オレには十分なんだ…)





「………それじゃ、おやすみ」


そう言って後ろを向いた瞬間
乾はフワリと背中を包まれた


『……どうして…そんな顔するんですか…』

「…………レイナちゃん…」

『………まだ…帰らないでください…………私……乾さんともっと一緒に居たいです…』







手を引かれるままに
連れて来られた彼女の部屋

リビングのドアが閉まる音がした次の瞬間
頬を包み込まれる感覚があり、唇に何かが触れた


「……っ…」


柔らかな温もりが何度か啄んで
そっと離れていく


『………………私じゃ……ダメですか?………もし、乾さんが望んでくれるなら……私…ずっと側に居ます………そんな寂しそうな顔させない…』


暗く静かな空間に
切なげな声が響いた


「…………何で……オレなの…?………オレは…レイナちゃんにそんな風に思ってもらえるようなヤツじゃないよ…」

『………アナタじゃなきゃ……ダメなんです…』

「……」

『…………私…前から乾さんのことが好きでした…………ずっと見てたから……アナタの心の中に誰か大切な人が居ることも…何となく分かってます………それで…今まで何も言い出せなかった…………でも、私……乾さんがその人のことを好きだとしても……それでもいいんです…』





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