第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
九井のことを思い出したからか
少し寂しい気分になって、乾はため息をついた
白い息のかたまりがモヤモヤと宙を漂うのを見上げていると
不意に物音がして
数件隣の裏口のドアが開き、そこからレイナが出てきた
『あ、乾さんこんばんは♪さっきはありがとうございました』
「…あぁ……今、帰り?」
『はい』
途中まで帰る方向が同じだと分かり
乾とレイナは並んで歩き始めた
商店街のあちこちで
酔っ払いのグループが大声で騒いでいる
『…雪…積もりますかね…』
「…どうかなぁ…」
かじかんだ手に白い息を吹きかけるレイナを
乾は横目で見て言った
「……寒い中…大変だったね…」
『…もう…身体の芯まで冷え切っちゃいました…』
レイナは『…明日もなんです…』と言って肩を落とす
「………そっか……風邪引かないように気を付けて…頑張って」
『ハイ♪ありがとうございます』
レイナの笑顔を見た乾は
じんわりと心の中があたたかくなっていくのを感じた
『じゃあ、私コッチなんで』
「…ぁ……うん」
『おやすみなさい』
「……」
笑顔でお辞儀をして背中を向けたレイナに
乾は「おやすみ」と言いかけて止めた
「……レイナちゃん?」
『…?』
足を止め、不思議そうな顔で振り返った彼女に乾は言った
「…家の近くまで送ってくよ」
レイナは恐縮して遠慮していたが
「今日は酔っ払いが多いし、心配だから」と説得され
乾の申し出を受け入れた