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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗



店の裏にあるソファで
2人は缶ビールを開けて乾杯した

丸いケーキにフォークを突き刺しながら食べたが
やっぱり余ってしまった


「…残りは冷蔵庫に入れて明日だな…」

「…うん」

「イヌピー、もう一本ビール飲むか?」

「いや…そろそろ帰る」

「そっか、気を付けてな」

「おー」


私服に着替えた乾は「お疲れ」と言って裏口から店を出た

空気は一段と冷え込み
地面がうっすらと白くなり始めていた


「…クリスマス、か…」


そう呟いた乾は
昨日のワタルの話を思い出した


数年前のクリスマスの夜、教会で勃発した黒龍と東卍の抗争は
圧倒的に数では優位だったにも関わらず黒龍が負けてしまった

総長だった柴大寿は引退
後を継いだ乾は、自分に着いてくることを選んだ仲間たちと共に東卍の傘下に降った


(…ココ……あの頃は…まだオレたち一緒に居たんだよな…)


その後、東卍の解散と共にカタギの仕事に就いた乾だったが
本音を言えば黒龍を復活させたいという気持ちもまだ大いにあった


総長・佐野真一郎
白豹と呼ばれたワカと赤壁・ベンケイ
そして、軍神・明司武臣

初代に憧れた乾にとって、黒龍の再建はとても大切な長年の夢であり
そう簡単に諦められるようなものでは無かったのだ


「この夢を叶える時、自分の隣にはココに居て欲しい」

乾はそう願っていた
願っていたというよりは、必ず側に居てくれるとずっと信じて疑わなかった


天竺へ行った九井も、始めは同じ気持ちだったのかも知れない
持ち前のバランス感覚で、天竺の方が有利だと考え
幹部のポストなどの条件を整えてから乾を引き抜こうとした

乾が誘いを頑なに断ったのは、九井にとっては想定外だっただろう
乾の黒龍への想いは、九井の想像以上にとても強いものだったのだ


「ココとはずっと一緒に居たかった」と残念に感じる一方で
乾は、自分の側から離れることで
九井がずっと囚われていた赤音の呪縛からようやく解放されるのではないかとも思えた

だからこそ乾は九井の意志を受け入れ
互いにこれまでの礼を言って別れることができたのだった


それきり
どこへ行ったのか

マイキーと共に行動しているという噂もあったが
本当のところはよく分からなかった


消息のつかめない九井を想うとき
乾はいつも、彼の心が安らかであるよう願っていたのだった
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