第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
「……」
「……」
「…あ……なんか…しんみりさせちまいましたね……さーせん」
気まずそうに謝ったワタルに
乾が聞いた
「…ワタル……オマエはもっと続けたかったか?」
「……ぇ……あぁ……いや…オレは…何があっても乾さんについてくって最初から決めてたんで……未練とか…そういうのは無いっス………突然のことだったんで…正直、戸惑ってた時期もありましたけど……族辞めてからも…こんな風に乾さんとは会えるし……昔よりも全然話とかできるようになったんで…今は今で嬉しいっスよ」
乾の問いにそう答えたワタルは
少し照れくさそうに笑った
「……」
(…「天竺に来い」…そう言ったココの誘いをオレは断った……ココは…それまでずっとオレに着いてきて…側で支えてくれたのに…)
マイキーが東卍の解散を宣言したあの夜
ワタルをはじめとする黒龍出身の仲間達は皆
顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた
(…あの時、オレがココを選んでれば…オマエらは東卍の解散には巻き込まれなかった……まだ今も…一緒につるんでいられてたのかも知んねぇ…)
その時からずっと
この道を選んだ自分自身の責任を感じていた乾は
今のワタルの笑顔に救われたような気がした
「…九井さん…どこで何してんスかね……元気なのかな…」
「…そうだな……アイツはオレと違って器用だから……きっと…どこかで上手くやってるだろ…」
"九井 一"
幼馴染、親友、相棒なんていう言葉では軽すぎる
乾にとってとても大切な存在
乾がそんな九井と最後に会ったのは、数年前
佐野真一郎とマイキーの妹だった "佐野エマ" の葬儀に参列した帰り道だった
「オレはオレの道をゆく……もうオマエを支えてやれねぇから…道、間違えんなよ!」
その言葉が
今も乾の頭にこびりついていた
(……ココは…自分が危険な状況にいてもオレを頼って来るようなヤツじゃない……でも…オレはココの為ならいつだって命を賭ける覚悟はできてる………アイツに救われたこの命を…)
その時
乾はふと、誰かに見られているような気配を感じた
ガラス張りのドアの方を見ると
腕組みをした女が頬を膨らませて立っていた
「……っ…」
乾の驚いた様子に
ドラケンとワタルも店の入り口へと顔を向けた
「…フッ…」
「ゲ‼︎姉ちゃん⁉︎」