第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
「…隊律は厳しかったっスけど……なんだかんだ言って…毎日楽しかったなぁ…」
昔を思い出し、懐かしそうに目を細めたワタルがドラケンの方を見て言った
「…ドラケンさんに思いっ切りぶん殴られたのも…いい思い出っス…」
「あ?…いつよ?」
「クリスマスの時っスよ!教会の外で!…オレら100人全員、ドラケンさんひとりにぶっ潰されて…」
「…んー、そうだっけか?よく覚えてねーワ」
「…ひでぇなぁ……あン時…オレ、世の中にはこんなバケモンが居るんだって…マジでビビりました」
「……バケモンて……テメェの方がよっぽどひでぇ事言ってんじゃねーか…」
「…あ…ハハ……さーせん!」
そこへ
電話を終えた乾がバックヤードから出てきた
「乾さん‼︎お邪魔してます!」
「…ワタル……オマエの声うるせぇ……電話が聞こえねぇよ」
「うわっ、さーせんっした‼︎」
「…フッ…だからうるせーって…」
「……ぅっス…」
ワタルが差し入れた缶コーヒーを飲みながら
3人は整備を終えてピカピカになった単車を囲んだ
「…何の話してたんだ?2人で…」
「"聖夜決戦"っスよ……ドラケンさんひとりにオレら100人やられたって言ったら…"よく覚えてねー"って…」
「…あー……そーゆーのはやった方は忘れちまうモンなんだよ…」
「……まだそんなに何年も経った訳じゃねーのに、寂しーなぁ……オレにとっては…スゲーでっけえ事件だったんスよ?……あれをキッカケに柴総長が退いて……黒龍はバラバラになって………乾さん達に着いてくって腹括った奴らだけが…一緒に東卍の壱番隊に降[くだ]った………その後…九井さんがひとりで " 天竺 " に行っちまって…」
久しぶりに耳にする名前に
乾は少しだけ頬をこわばらせた
「………オレ……乾さんと九井さんが離れるなんて…想像もしてなかった………まして、九井さんの居る天竺と…東卍がやり合うことになるなんて…」
「………ワタル…」
「……」
「…"関東事変" の後…すぐに東卍が解散して……壱番隊に入ってた黒龍も…そのまま……………改めて考えると…スゲー時代でしたね…」