第8章 東京卍リベンジャーズ・乾青宗
20XX年12月23日 pm 6:00 ──────
冬場に入り、年末も差し迫ると
メンテナンスの依頼が増えてバイクショップは割と忙しくなる
それは、龍宮寺堅と乾青宗の経営する
" D&D MOTOR CYCLE SHOP "も同様だった
「イヌピー、サンパン[YAMAHA RZ350]のメンテ終わったぞ〜」
「…お疲れドラケン。オーナーさんには連絡しとくから少し休めよ」
「おー…頼むわ。伝票の綴り、裏にある」
「分かった」
乾が電話の子機を手にバックヤードへ行くと
店に若い男が入って来た
「ちわっス!お疲れ様です!」
黒龍時代からの乾の後輩・織月 ワタル
彼はバイクショップの数件隣にあるケーキ屋の息子で
乾のことを慕い、よく店に顔を出していた
「外、さっみーっスね!…あ…コレ、差し入れっス♪」
ワタルはそう言うと
カウンターにあたたかい缶コーヒーを2本置いた
「おー、ありがとな。…オマエ…また店の手伝いサボって来たのか?」
「違いますよドラケンさん!今はちょっと休…憩……って……うわぁ!これサンパンじゃないっスか‼︎」
「…いまメンテ終わったとこだ……こんだけ状態がいいのも珍しいよ…」
「……スッゲー……やっぱかっけーな…ナナハンキラー………オレ、これ乗んの夢だったんスよね……もっとこう…昔の乾さんみてーにゴリッゴリに改造して…」
「……フッ……オマエ、本当イヌピーのこと好きだな…」
「そりゃそーっスよ!オレ、乾さんに憧れて黒龍に入ったんで」
「へぇ、そうだったのか…」
「ハイ!…特攻隊長だった乾さんの背中追っかけて……夢中で単車転がしたり…喧嘩したり………その頃の乾さん…メッチャキレやすくてスッゲー怖かったんス……だから…たまに声掛けてもらえたりすると、もうそれだけで嬉しくて…」
「…ふーん」
目をキラキラさせて乾のことを語っているワタルを見て
ドラケンは微笑ましい気持ちになった