第1章 私の物語
「じょ…承太郎さん…っつ!!」
承太郎さんの指はゆっくりと動かし、私の顔色を伺う。
「ど、どうしたんですか…!奥さんとお子さんいますよね…!」
「……別れる」
「!?」
わ、別れる!?
「お前のために別れるわけではない。今はそれだけで十分だろ…」
うっ、と指が動くたび反応してしまう。
私も出会った当初からずっと好きだった。
初恋の相手ではあるが、しかしだいぶ歳が離れているし、承太郎さんは既婚者だ。自分の想いは自分だけのものにしておこうと決めた。
でも今自分がしている行為は不貞行為なのであって決して許される行為ではない。
…
でもっ
「わ、私も承太郎さんのこと好きでし…った…
…でも、これはダメだと思います…」
「…!」
承太郎さんは「好き」という言葉を聞くや否や『やれやれ』と呟き指が私の下部から離れ、深いキスを何度も角度を変えながら、下を這わせながら呼吸の隙も与えてくれない。
「ふあっ…だめ…れす…」
「きもちいのか。」
自分のズボンへと手へと移り、ポケットからソレを取り出し慣れた手つきで填める。
「…!?は、入らないです!」
「力ぬけ」
「うっ…あっ…あぁっ…」
「棗…痛むか…」
そう言っていつもとは少し違う手付きで私の頬を撫で、深いキスを落とす。
初めての私が痛がらないようにゆっくりと腰を動かす。
奥をつかれるたび、溶けそうなほど体温が上がり、下からも上からも承太郎さんの熱も伝わってくる。
彼の顔は今までに見たことがないようなずるい表情だった。
「本当にいい女になったな棗…くっ」
「あっ…ひゃっ…そこは…ダメです…っ!!」
グッと奥まで押し込まれ、大きな快感が押し寄せる。
ダメなことをしていることはわかっているのに…!
静かな部屋には自分たちの息遣い、そして軋むベットの音。たまに聞こえる聴くに耐えない液体の音。恥ずかしくて頭の中が真っ白になった。
「ああっ…じょ、承太郎さんっ…み、みないで」
両手で頬を包み込み、「かわいいな」と優しく深いキスを落とした。キスは首筋、鎖骨を這って胸あたりで探り始めた。
「そこはっ…!!いっ…ああっ…」
承太郎さんは私の頭を抱え込み
「棗、お前のことを大切に思っている」
と囁いた。
何度もその甘く切ない言葉を囁き、その後も何回か行為に及んだ。