第3章 パッショーネと
<棗side>
「ブチャラティ様、いらっしゃいませ。
もう皆さんおそろいですよ」
「あぁ、今日もありがとう。」
「いえいえ、ブチャラティ様がされていることにしたら全然ですよ。
私たちも助かってますから」
この街ではブチャラティという存在はかなり大きいらしく、道ゆく人老若男女は「ブチャラティ〜!」と心の底から彼を敬愛している様子がとってわかった。
「(ギャングがこんなに愛されるなんて、なんか不思議。)」
そう思いながら4、5分でついたこのレストラン。
どうやら行きつけらしく店主らしき人が人目がつかない、壁で仕切られている個室のようなところへ案内した。
「よぉ〜ブチャラティ、新入りを連れてきたっ………」
っと少し褐色の肌の男が食べていたパスタのフォークを落とし、私へと視線を移す。
「ミスタ、行儀悪いですよ。何があるんですか…って、え…?」
「フーゴ、ここわかんねーよ!って…ブチャラティ、その人言ってた新入り…?」
「そうだが。」
「ふっ。まさか女連れとは…ギャングも舐められたもんだぜ。ここ、座れよ。」
長髪の男は少し交戦的だ。そう感じた。
「ジョルノ……」
「じゃあお嬢さんはこちらへどうぞ」
っとミスタと呼ばれていた男は椅子をそそくさと運んできて、私の背中を押して強制的にジョルノより先に着席させた。
「茶でも飲めよ」とティーポットをテーブルの裾に隠し、何やら黄色い物を注ぐ。
「…!!」
あ、あれは…口にも出したくないけど…この男最っっっっっ低!!下劣!!!!!
何事もなかったようにかちゃんと音を立ててジョルノの目の前にその“お茶”を置いた。
ジョルノはティーカップにその“お茶”を注いだ。
ジョルノにこんな物あげちゃダメだ…私も飲みたくないけど…ジョルノがこんな仕打ち受けちゃダメだ。
「ジョルノ…私ものむよ……」