第5章 雨の良い雰囲気を激情した出久くんと秒でブチ壊す話
優しく肌を吸われてくすぐたいのもあれば、カリッと噛まれて痛いのもあった。溢れ出る声を抑えて、痛みを和らげる為の息を深く吐く。
体に傷を付けるようなことは一切してこなかったのに、こうして無遠慮に所有印を自分に付けている。こんなに荒れている緑谷を、秘多は今まで見たことなかった。
「…少し痛かったよね?ごめんね」
少しってものじゃない、流石にこれはやり過ぎだと彼女は眼で訴えかけた。肩口や胸元、そして脇腹にも所々痕が散らばっている。首の所なんてほぼ痣なのに、上辺だけの謝罪をする緑谷はソレを愛でるように指でなぞっていた。その淡々としている素振りに恐怖すら覚えてしまう。
『っ…んっ♡あ、むね……よわいっ、だめっ♡』
「ここも付けなきゃね……」
男らしく無骨な手でありながら優しく丁寧に乳房を揉み込み、もう片方を口で捏ねる。背を仰け反らせた秘多はつい緑谷の髪を強引に引っ張ってしまったが、それでも彼は気にせず冷たい空気によって尖らせた乳首を甘やかに吸い、親指で焦らすように転がした。
ちゅうううううう♡ちゅる♡ちゅるっ……カリッ
『あん”っ…♡♡あ”っ、んぅ…いたっ♡や、やめっ』
優しい愛撫の合間に歯を立てられて乳首に痛みが走った。軽くはあるが甘噛みしながら引っ張られて、ジンジンとくる感覚に腹部の奥が疼く。どうやらまだご立腹だったのか、優しくと腕を掴んでお願いしても緑谷は止めてくれず、逆にもう片っ方の突起を指で抓られてしまった。
「触って欲しい…?んっ♡」
散々ヒリヒリになるまで嬲っておいて、締には癒すように執拗に舐めてくるからズルい。そして悔しいことに、身体はそれを素直に快感と受け止め、更なる悦楽をと期待が募った。それを表すかのように、じんわりと下半身が熱くなっていくのを感じる。秘多が物欲しそうにコクコクと頷くと、彼はまた意地悪そうに笑みを含んだ。
「閉ざさないでね」
『う、うんっ……』
恍惚と瞳を見詰め合い、緑谷がそっと腹部にキスを落としながら舌を這わせていく。雨の空気で肌寒いのもあるせいか、肌がやたら敏感に感じる。