第4章 折寺中を訪れたら出久くんとわいせつ行為をしちゃう話
『それはとても楽しそうだね…出久くんが踊っている所、見てみたかった』
ガリ勉とまで言わないが、普通の人より勉強意欲のある秘多から、人体と個性の関係性に纏る研究とそのデータ解析、又もや濃い内容の書物で知識を深めようとのことで、休日の午前中から勉強会を開くことになったのだ。
戦闘において満足に助力できないから、せめて知識を高めるお手伝いと言う、彼女なりの支援なんだろう。色んな専門用語を叩き込み、それなりに思考力を消費したところで、二人は休憩を兼ね近況について話を弾ませていた。
「チームをクビにされたから、見せ場は少なかったけど…楽しかったな、雄英祭」
『君が救けた女の子、もっと笑らえるようになれたらいいね』
それ程微笑ましいことだったんだろうと、秘多は緑谷の和やかな表情を見て察した。インターンでの出来事も聞かされて、やっぱりヒーロー科は凄いんだなと、改めて次元の違いというもの感じる。
しかし、雄英のヒーロー科生徒といえど、彼らもいつだって命懸けだ。一般的に見たら単に関心でしかないだろうけど、雄英生の知人が度々何かに巻き込まれるごとに怪我を負うとなると、関心どころではなくなる。一時は雄英での生活を反対した母親の気持ちも分からなくもない。
自分も秘密裏に緑谷を心配していたのだから。たがそんな不安な素振りは敢えて控え、秘多は興味深々に相槌を繰り返した。
「な、なんかずっとこっちの話ばかりでごめん」
『君の英雄譚はどれも興味を唆るから、聞いてて楽しいよ。そう言えばこの後予定があるんだよね、時間大丈夫?』
「あ、うん。4時からコスチューム改良の件でサポート科に顔を出さなくちゃいけなくて」
秘多が腕時計に目を遣ると、予定の時間までまだまだ余裕があると確認する。背伸びをすると同時に、窓越しの空を見上げた。
努力派は休日の良い天気の下でも鍛錬を怠らないのだと不意に息が溢れる。我らが英雄は今日も邁進する…か。