第3章 我慢出来なくて朝っぱらから出久くんと野外でガッツリしちゃう話
クチュクチュ♡チュ♡
くぐもった吐息と深く交わる粘膜の音だけが鳴り響く。舌同士が擦れあい、唇が腫れそうになるくらい長く食みあっていたら、更に先を求めんと興奮が高まった。彼の手が服の上を這う、このままではいけない…。
『ふ……む♡ん、んっ♡』
緑谷に身体を壁に押し付けられた秘多が苦しそうに呻き、彼の胸を軽く叩いてストップを掛けるように伝える。やっとの思いで口が離され、連なった糸が1秒も経たない内に切れた。
「ごめん、苦しかった?」
『ううん…私の方こそ、急にごめん』
何方も息が上がっており、よそよそしく視線を伏せている。人気のない何処ぞのマンションの入り口付近で急にキスを迫られた為、軽くあしらってみれば不覚にもスイッチが入り、夢中に貪ってしまったのだ。口付け一つでこんなに翻弄されるなんて、まだまだ未熟なものだ、お互いに。
『今日もありがとう。私はここで……帰り気をつけてね、出久くん』
「うん…それじゃあね、密ちゃん」
マンションの中に入り、優しい笑みで手を振る秘多に対し、緑谷は何処か残念そうに苦笑いで返した。恋仲でもないのに、また変に期待している自分に呆れてしまう。
一夜を共にした日以来、二人はたまに会うようになっていた。それぞれ違う高校に通っているものの、スケジュールさえ合えば、一緒に勉強をしたり、自宅まで歩いたりもした。
ただ、時たま濃密なひとときを過ごすことがあり、衝動に駆られて場所を考えずに身を委ねてしまいそうなったことは少なくない。なるべく親密過ぎないよう、一応ブレーキは掛けているつもりだけど……。
「はぁ……」
正直、お預けはキツイ。学業に悪影響が出ないよう、お互い遠慮しているからだろうか。雄英は戦闘や救助に携わる授業が主だから何とか気晴らしに出来ているが、やはり若者の性に対する知識欲やエネルギッシュさはそう容易く振り払えるものじゃない。
触れられたい、もっと触れたいな…と、今夜もまた、虚しく自分を慰める夜となりそうだ。