第12章 疲れ勃ちした出久くんとヤリたい放題のバカンスに沼る話

あんな……。彼ばかり危険な目に遭わせるような世界なんて、1ミリも惜しくなんかなかった。選んで欲しい。自分だけの味方になると言ってほしい。他でもない自分を……。

堂々巡りの思考の中で、しばし静けさを嗜む二人だった。





…——

ぬ……♡ぬぷぷ……♡

『出久っ、ん……♡はいっ…た』
「っ……辛くないの……？」
『平気……でも、ちょっとだけ……このまま……♡』

一つに繋がるまでかなりの時間が掛かった気がする。両者とも全身汗だくで、散々乱れた後みたいに消耗が激しい。

昂った雄が勝手に暴れないよう、彼の大きな両手が尻たぶを掴んで、対面座位の体勢を固定する。先の余韻がまだ残ってるせいで、ふーふーと肩で息をしている音が聴覚に触れてきて、秘多も小刻みに呼吸を乱していた。

「あっ、ん……♡それ、ダメっ……」
『んっ……は、はぁ……♡温めてあげる、から……待っててっ♡』

圧迫感に慣れるまで律動はせず、ひとまず温かいぬかるみに身を委ねる二人。ヌル付く蜜壺の粘膜全部が陰茎をぴったりと締め付け、恥骨同士を擦り合わせると、熱に浮かされた双眸達は更に複雑に絡み合った。一生離したくないと、ずっと自分だけのものになればいいのにと、今にも叫ばんばかりに。

『はぁ、っ……♡あ……出久くんも、私に似てきたのかな……？あれだけイヤイヤって言ってた、のに……♡』
「今は……っう♡な、何も言わないでっ……」
『……ふふ』

腰の辺りがくすぐったくて、温かい。どんどん余裕が擦り減っていき、もうすぐこうして無駄口を叩くことさえ出来なくなる。じっとしているだけでも、ほんの僅かに力を込めれば、じわじわと甘さが性感に広がっていくようだった。

その一方、短時間の焦らし愛撫を経て、緑谷は唸り声を荒げつつも、歯を食いしばり快楽に耐えていた。いつまで経っても律動が始まらないことに困惑を隠せない様子だ。彼は我慢ならず腰をくねらせて発散を試みたものの、無情にも秘多に体重で抑え付けられてしまう。

「はっ♡はぁ……密ちゃん……も、もう……」
『ん……少しだけ、もう少しだけ、待って……♡』
「そんなっ……密ちゃ、ふっ、う゛ぅ……！♡」
『私が、っぁ……♡慰めるの……ん、はっ……』