第11章 シーツのストックなくなるまで出久くんに泣かされる話
自力でどうにか玩具を外そうと、秘多は腰を力ませたり揺らしたりと精一杯足掻いてみたものの、結局快楽の波には勝てず、後転するような苦しい体勢のまま喘ぎを荒ぶらせた。
『も"ぉ、むりいぃ"っ、づらい“…!♡どめで、い"、いかしぇないでっ、んぐ、いやあ"、いっぐぅ♡なん、れ"っ…もどって、っぐれないの"ぉ…!♡ ん"、あ、あ"ひぃ"っっっ♡♡♡』
潮を噴く度にごめんなさい、許してくださいと虚無に向かって助けを乞う。だが、終わらない。陽だまりのように暖かくて、優しい緑谷だって戻ってこない。
『ひっ、う"…ごめんっで、い"っでるのに"ぃ…う"っ、ん"んぅ♡ずるい"、あ"ん…♡おねがい、もぉ"、いやぁっ、しおふぐの"、いやらあ"ぁ"♡じぬ"ぅ"ぅ"っ…!!♡』
華奢な少女がこんな情けない格好でぴーぴー泣き喚いているのに、どうして彼は助けにきてくれない…?おいてかれたのだろうか。そんな風に考えたけど、緑谷はそんなことをするような人じゃない。そう言い聞かせるが、もう限界だった。
目の縁に溜まった雫がポロポロとこぼれ落ち、ぐっしょぐしょに蕩けた秘多の顔を更に濡らしていく。イキ地獄に堕とされることよりも、彼が側にいないことがこんなにも苦しい。言い知れぬ寂しさと無力感が、無防備になった自分の心をぐちゃぐちゃに引き裂いていくようだった。
だが、これも当然の報い。今の暮らしが失われるのを恐れるあまり、緑谷の気遣いを無下にしたのがそもそもの発端だ。最愛のヒーローを独占したいと望んだばかりの、自業自得というべきだろう。
『う、ぐすっ……こんな"、の、っ……いず、く…』
やがて意識は半醒半睡の朦朧状態に陥ってしまい、感覚や体内の時計をもバグらせる。痛々しく肌に食い込んだ、微かな身じろぎすら許さない拘束さえもう気にならない。どんな酷い罰も責め苦も受けるから、せめて自分の元へ戻ってきてほしかった。
戻って、手を取り合って、指を絡ませて。彼の温もりを感じたい。意識が途切れる最後の瞬間まで、秘多はただそれだけを願った。