第11章 シーツのストックなくなるまで出久くんに泣かされる話
秘多は心の中で身構えるものの、あからさまにご立腹な様子の緑谷に身体を抱き上げられ、そのままリビングへと連れて行かれてしまう。向かう途中、タンスから何か持ち出したようだが、それを確認する猶予はなかった。
『出久くん…?っや!?』
もしかして今晩は寝室ではなく、ここで致すのかと呑気に興奮して、弾んだ気持ちが湧いてきたと思ったら、几帳面な彼にしては雑な動作でソファに降ろされた。
「はぁ……僕は止めたからね?」
どことなく冷ややかな雰囲気が出ている緑谷に見下ろされ、秘多のこめかみから一滴の汗が伝い落ちる。
怒りを買ってしまえば、ろくな目に合わない…。恐怖を感じないと言えば嘘になるが、それよりも欲求の方が勝っていた。筋張った両手に衣服を全て剥ぎ取られても動じず、その先を待ち望む自分の双眸は早くほしいと、厭らしく揺れ動く。
『い“っ…!ん……?』
しかし、そんな淡い疼きを覚える最中、手首に突如疼痛が走る。「ちょっとごめんね」と一応詫びる緑谷に着目すると、似たような違和感が片方にも与えられた。少しだけチクチクする、そして何故か動かせない…。
直感的に不穏なものを感じ取り、視線を下ろす秘多が眼にするのは、ソファの肘掛けから離れなくなった自身の手首。そこに巻きつくのは太めの……麻縄?
『あ……♡出久っ、これ…』
そこから先はあっという間だった。あまりにも素早すぎて、状況を把握するどころか、反応すら出来なかった。気付いた時には、四肢が左右の肘掛けに括り付けられており、最も奥まった秘所全てを晒すようなあられもない格好をさせられていたのだ。
「いい密ちゃん?君はこれから完全無防備状態で、身動き取れないまま僕にひたすらイかされるんだよ?」
家具の幅が広い為、M字というよりはV字におっ広げられた内股に、好奇な視線が注がれて、言い知れぬ羞恥の情に秘多は紅潮した。
完全無防備、ひたすらイかされる…。ソレを耳にした途端、待ち望んでいるかのように瞳孔が開くのを緑谷は決して見逃さず、縄の結び目を再度キツく締めることで、高揚感を助長させた。