第11章 シーツのストックなくなるまで出久くんに泣かされる話
「ちょちょっ、ちょっとストップ!もう密ちゃん、またそうやって人のこと誘って…!」
『だって…シたいから』
「そんなストレートに盛られてもっ…!昨日シたんだし、体調崩さない為にも今夜はやめよう?ね?」
そんな御託を並べて、素直に引き下がるとでも?しかし秘多は、押しとどめようとする緑谷をすげなく無視して、身体を密着させるように抱きしめた。共に過ごす今を失うのはあまりにも惜しいと、その身に他ならぬ自分の温もりを刻ませる。
「っあ…!はっ…やめ、っ……あ♡」
『んっ…♡』
分かりやすい程に紅潮した彼の耳殻に唇を寄せ、勝手気ままに舐めしゃぶってあげれば、手首を掴んでいた拳が僅かに緩んだ。それをチャンスだとばかりに、秘多は薄衣の隙間に手を滑らせ、臍下の更に下を緩慢になぞる。
大それたことをした訳でもないのに、左右の寛骨を撫でる度に背筋をビクビクと震え動かして、呼吸を乱し始める緑谷がどうしようもなく魅惑的に見えてしまう。
『はぁ…、昨日は凄かったね…♡なら今夜はもっと凄くなるのかな』
冗談めかしたことを吐息混じりに吹きかけ、酷く慎重な手付きで彼の汗ばんだ鼠径部の素肌に触れ続ける。ほんの少し身を捩れば、指先がやっと男根に触れられる距離。それを敢えてキープし、甘く誘いながら焦らすことで相手の期待感を膨らませるという、秘多お得意の手口だ。
「絶っ対、シない…!しない、っからぁ、あっ♡うぁ…ん"ぁ♡待って、はっ……」
『こっちは私に賛成みたいだけど…じゃないなら、硬くする理由を聞いても?ヒーロー♡』
案の定、その策が効いてるのか、普段は感じない性感帯の愛撫にすら緑谷は鋭敏に快楽を拾い、自分からもっとと強請るように腰を寄せた。言ってることとやってることが食い違ってるのが滑稽で、思わず口端があがる。
あまりいじらしく身悶えるものだから、褒美とばかりに首筋を喰み、火照りつつある部分をやんわり揉んでやる。そうすると、彼はシンクの淵を支えに、前かがみになりそうな身体を必死に立たせた。
「ま、待っててばっ♡ あ"、ぁっ…♡なん、でっ…く、言うこと聞かないんだよぉ…!」
『戒めたい?いいよ…止める気ないから♡』
「ん“ぁ…♡その手には、乗らなっ…あ、う"…♡」