第10章 安らぎを求めて出久くんとスローライフな性活を送る話
秘多は慌てふためく緑谷の手を取り自身の頬に添えさせる。そうすると、怖いものなど何もないとでもいうように口元を綻ばせ、囁いた。
『まだ離さないよ、ヒーロー……』
"人は恋に落ちると、バカなことをするもの"。何処かの映画で聞いたセリフをふと思い出す。
彼の寂しさに触れられるなら、寄り添えるのなら、不恰好に血を流すくらいどうってことない。途方もない時間が掛かろうと、決して一人じゃないと何度でも背中を摩ってあげよう。それが今の自分に出来ることなのだから。
『もう帰ろう?脱水症にでもなったら大変だしね』
戸惑った眼をして立ち尽くす少年の口が開く前に、秘多が頬を緩めながら手を引く。初めて話した時のようにどことなく強引で、それでいて優しく。
TO BE CONTINUED
11章「シーツのストックなくなるまで出久くんに泣かされる話」