第2章 門限破ってまで救けに来てくれた出久くんと濃密な一夜を過ごす話
あらすじ
誘拐事件に巻き込まれた秘多密を救けるべく、単独で行動を起した緑谷。規則違反による罰と危険を承知の上で、アジトを突き止め、多少の傷は負ったものの、人身売買に手を染めていたヴィラン組織を打ちのめし、無事中学の同級生を救い出すことが出来た。
残念ながら先に商品化された被害者たちは、既に裏の者により国外へ売り飛ばされてしまっていた為、行方は未だ不明。後のことはプロヒーロー達に託す他なかったが、秘多だけでも助けられたのが不幸中の幸いとも言える。
救出された秘多の服装は無惨に引き裂かれており、身を包むにはとても乏しかった為、緑谷は困惑しながらも上着を彼女に纏わせてから現場を後にしたのであった。本来なら彼女の身柄をすぐにでも警察に保護してもらいたかったが、空腹のあまり衰弱しそうな秘多を養わせようと、通りすがりのうどん屋台で夕食を共にすることになる。
ー作者の文章力の無さにより、一部飛ばしました。ー
…ーー
『なんかごめん…奢らせちゃって』
「いいよ、ゆっくり食べてね」
ボロッボロな格好で、黙々と麺を啜る高校生二人。言葉通りゆっくり食べていたかったが、秘多は久しぶりのまともな食事に感動し、箸を動かす手が止まらない。それを横目で緑谷は愉快そうに見ていた。
こんな風に肩を並べて食べたのは折寺にいた時以来か。奇妙な形で再会を果たしてしまったが、会えて嬉しかったことに変わりなかった。秘多が手を合わせて食事を終えると、緑谷も箸を置いて振り返る。
「少し落ち着いたら、駅探しに行ってくるよ。君をなるべく安全な所へ保護してもらわなきゃ」
『うん、まだやってると良いけど…』
「アンタラもしかして都内から?此処じゃ1日2本しか出ていないよー」
すると使い終えた食器等を下げにきた店主が二人に声を掛けると、緑谷はえ“っ…と目を丸くし仰天した。時刻は23時過ぎ、寮からも自宅からも相当離れたエリアだ。帰りの便がないのは明白だった。
「一泊してから朝一番の便に乗ることをお勧めするよー」
『仕方ないね、泊まれる場所があれば良いんだけれど…』
「それならーー」