第8章 誕生日にアメコミ小ネタかました出久くんとサンデー作りする話
extra 注意事項
アメコミ映画小ネタぶっ込んでます。
蜘蛛男=スパ○ダーマン。
…ーー
『はぁ、とても良かった……』
大勢の観客が出口に向かって歩み去っていく中、赤いパンフレットを胸に抱き締めていた秘多が満足気に呟いた。シアターを出た後も、早鐘を打つように胸が小躍りをしている。映画のクライマックスで感じたあのワクワク感がなんともいえないのだ。
流石はマー○ル・スタジオ、今年の最新作も素敵だった…、ロゴのイントロからエンドロール後のクレジットシーンまで全部いい。
「密ちゃんが蜘蛛男シリーズ好きだったなんて以外だね」
『小さかった頃良く観てたから…』
映像に集中し過ぎたあまり、緑谷がわざわざ買ってきてくれたポップコーンは手付かずのまま中身の半分以上はゴミ箱行きとなってしまったが、隣で観ていた本人もどハマりしていたようで面白かったと評価してくれた。リアルのとまた別で、架空のヒーロー達はフィクションならでは魅力を持ち、ストーリー性のあるアクションや世界観には人の心を惹きつけるものがある。たまには現実から離れてそういった醍醐味を味わうのも悪くないかもしれない。
何故今日という日に一緒に映画を観に来たかというと、待ちに待った公開日が偶然と自分の誕生日と同じだったからだ。親から映画鑑賞ペアチケットを貰い、片方を誰に譲ろうかと悩んだ末、ヒーローオタクの緑谷なら食い付いてくれるんじゃないかと考えた。
ヒーローモノだからと言って趣味が合うとは限らないし、それに雄英生の外出は難しい。駄目元で誘ってみたが、思いの外、彼は是非!と嬉しそうに声を張り上げて誘いを受けてくれたのだ。お祝いを兼ねて好きな映画を一緒に鑑賞する、これ程喜ばしいことはない…。
『新作に初代ネタ取り入れてくるなんて…絶対ファン泣かせに来てた。もうすぐで飛び上がりそうになったよ』
「初代3部作は名作だよね。個人的にアメイジングシリーズが一番好きなんだけど、特に2は主人公の心の成長を感じられるというか、挫けても尚街の平和の為に戦い続ける姿は超絶カッコいいっ」
『最後子供が出てきてヴィランに立ち向かうシーン?アレは震える…』
同じシアターで鑑賞したファンも、きっと自分達のように雑談を盛り上げているのだろう。