第6章 怒りの兄(激甘)●河田ナホヤ
ー河田宅
ピンポーン
嫌な緊張感の中呼び鈴を押すと、聞きなれた声が返事をした。
「・・・はい?」
「あっ、小坂、です。おはよう、ナホヤ君・・・」
ビクビクしながらその声に答える。
少し間があいた後、何?と一言。
ここで引いてはだめだ、と勇気を出し次の言葉を話す。
「あの・・・入ってもいいかな・・・?」
また間が空く。
しばらくしてガチャっとドアが開いた。
一回りもサイズの大きな真っ赤なパーカーを着たナホヤが顔をのぞかせた。目元も口元も笑ってはおらず、黒いオーラが見えたような気がした。
「入れよ」
冷めたような口調で私を中へ通す。
激怒だ・・・これは・・・
それにしてもこの態度気まずすぎる。
一刻も早く謝りたい、そして仲直りしたい、と心に願った。
「お邪魔します・・・」
ナホヤは部屋まで私を通すとベッドにボフッと胡坐をかいた。
「・・・で?何の用だよ」
私はこの気まずい雰囲気の中座れず、ナホヤを見下ろすような形でベッドの傍に立った。
その光景はまるで教師と、怒られる生徒であった。
ナホヤは目を合わさずそっぽを向いている。
「えっと・・・体調、大丈夫?」
ようやく口が開いた。沈黙過ぎて自分の声が大きく聞こえた。
「あ?何、ソウヤに言われてきたの?」
「いや、先生に聞いて・・・」
「俺ソウヤにしか言ってねえんだけど?つーかまだ授業始まってねえよな。」
うっ・・・地雷だったか・・・?
「ソウヤに言われてきたんなら帰ってくんない?マジで今気分悪ぃーし。」
うん、機嫌も最大級に・・・ね。
って、そうじゃない。私、謝りに来たんだ。
本題を整理し、もう一度話す。
「ごめん、ソウヤ君に言われたのもあるんだけど、ナホヤ君に謝りたくて・・・」
その言葉を聞くと、ナホヤはぴくっと反応する。
「なんで?」
「あの、前にね、転入生の事話したでしょ?それで私・・・ごめんなさい。ナホヤ君が嫌な気持ちしてるの気づかなくて。」
ナホヤはようやく私の方を向いた。
先ほどの黒いオーラはなく、ただ私を確かめるようにジッと見つめていた。