第1章 二人の悪戯(甘)●河田ナホヤ、ソウヤ
夢を少し驚かせてハロウィン気分を味わってほしい気持ちで二人で用意していた計画や道具。
気を失う最大の原因となった男性のマスクはベッド横の丸テーブルの上に置かれていた。
悪戯が過ぎた。事の重大さを知り、互いに深く反省しながら夢が起きてくるのを待ち続ける。
明日まで両親のいない日でよかったと少しだけ安堵する。安心して彼女を寝かせられるからだ。
ー22時半
意識が戻ってきて、目を開けようと瞼を持ち上げる。
一気に光が入り込み眉間にぐっと力が入る。
「・・・。」
頑張って光を取り入れ慣れてくると、上から自分の顔を覗き見る二人の姿があった。
「わ・・・!」
反射的に布団を頭の上まですっぽりと被る。
こんなに間近で見られたのは初めてだ。おそらく自分の顔は赤面しているだろうと悟り、布団を持つ手に力を入れた。
「夢ちゃん、よかった・・・目覚めたんだね」
右手に温かい感触が包んだ。布団を目元まで捲るとそれはソウヤの手だった。
「大丈夫か?わりぃ、俺らやりすぎたな、夢を脅かせようと思ってやったことが、まさかこんな事になるなんて・・・」
うつむき加減でナホヤが答える。
夢は気を失う直前に見た男性の顔のマスクがテーブルの上にあるのを目の端で確認し、「あぁ・・・」と状況を整理し、把握した。
「そうだったの、・・・なんだ、良かったあ、私てっきり二人が何か事件に巻き込まれてるのかと思ったの」
優しい微笑みの表情を二人に向けると、二人は予想外の答えだったのかきょとんとした表情だった。
「俺らが夢を置いてったり予定をすっぽかしたりするわけねーだろ?」
心の底から安堵のため息をつき、いつもの笑顔を向け夢の頭を優しく撫でる。
兄に続きソウヤも同じように息を吐き、夢の右手に添えていた手をさらにぎゅっと握りしめる。
「ごめんね、怖かったよね?」
そう言うと夢の首に両手を回し布団ごと抱きしめる。
それを見たナホヤが、「おい、ちゃっかり抱き着くなコラ」と一声。
兄の一言にムッとしながらも、すぐに名残惜しそうに離れる。
「でも本当に何ともない?大丈夫?」
珍しく眉をハの字にしたソウヤが夢に聞く。
こくん、と一度頷くと、うっすら笑みを浮かべる。