第5章 夏祭り(ギャグ甘)●灰谷、河田兄弟 ※ネタばれあり
ー一方ソウヤは屋台を歩き回っていた。
右手にはほんのりピンクに色づいた綿あめ、狐のお面を額に斜めにかぶり、一人祭りの雰囲気を楽しんでいた。
そろそろ、兄ちゃんたちのとこ戻ろうかな・・・
そう思っていると、左側にとてもかわいらしい屋台を見つけた。
女子中高生が好きそうなキーホルダーや、文房具が並んでいた。
夢ちゃんに持っていったら喜ぶかな・・・
そんな思いがふとよぎり、少し寄ってみることにした。
どんっ
誰かにぶつかる。
「あっ、ごめ・・・」
咄嗟に謝ろうとするがその姿を見た瞬間息をのむように黙った。
「いやこちらこ・・・そ・・・」
相手方も同じように息をのんだ。
ぶつかった相手は、かつて兄を病院送りにした灰谷竜胆だった。
一方竜胆も自分と同じように苦虫を噛み潰したような表情をして固まっていた。
自分と兄を一瞬にしてのした相手だ・・・と。
((こんなとこでこんな奴に出くわすなんて・・・))
互いの思いは一致した。
「あ・・・あの、さ」
ソウヤが口を開く。
「なんだ」
「もう怪我・・・大丈夫・・・?」
自分で倒した相手の心配をするソウヤ。
「あん?なんだよそれ、喧嘩売ってんのか?」
竜胆がイラ立ったように答える。
「別に売ってない。ただ、聞いてみただけ。」
「惨めになるだけだからやめろ。それよりアンタの兄貴の方は・・・」
竜胆が少し気まずそうに聞く。
「だいぶ前のことだし良くなってるよ。」
こいつ・・・自分で殴っておいて、よくものうのうと・・・
ソウヤにも怒りを感じ始めた。
気まずい雰囲気の中竜胆が話を切り出す。
「アンタ、この店に用なの?」
二人の横にある店を指さす。
「あぁ、そうだけど何?」
ソウヤは低めの声でそう答える。
「何、女でもいんの?」
「・・・まぁ、いや、でも兄ちゃんの気になる相手かな・・・」
夢の話になり気持ちが落ち着いてくる。
二人の間に気まずさがなくなっていくのが分かった。
「なんだよ、複雑だな、アンタがプレゼントするのか?」
「・・・。」
考え込むソウヤにを見て竜胆は頭を掻いた。
こいつは恋愛に奥手だ。
・・・兄貴も一向に見つからねぇし、暇つぶしに手を貸してやるか。
「行こう」
竜胆がソウヤの方を見ながらくいっと首を店の方へ向ける。