第5章 夏祭り(ギャグ甘)●灰谷、河田兄弟 ※ネタばれあり
小さな箱に意識を全集中し銃器を構える。
今まで見たことないような真剣なナホヤの姿に私も緊張の汗が頬を伝った。
がんばって、ナホヤくん・・・!
パン!!
「ざぁ~んねん、ハズレだな」
最初に放たれたコルクは箱の上の台に当たった。
「次はもう少し下だな!」
残り二発。
じっと狙いを定める。
パン!!
「くぅ~!!惜しい!!でも兄ちゃんなかなかセンスあるねぇ~、こんなにうまい奴は初めてだよ!」
次はわずかに下に行き、箱の置いてある台に命中した。
「っふう~、次は確実に当てるぜ・・・」
再び的に全集中する。
そして最後のコルクが放たれた。
パン!!!
コンっ・・・
「!!?」
コルクは確実に一直線に的に向かって当たるはずだったのに、何かにぶつかりそれは跳ねのけられた。
「こりゃまた残念だねぇ、どうやら他のお客さんの球が当たったみたいだ。」
え・・・?
横を向くと、背の高い三つ編みをした男が銃器を肩に掛け私たちを見下ろすように立っていた。
私たちと同い年くらいだろうが、年は彼の方が上だと感じた。
誰だろう、と思いながらふとナホヤの方を見ると、笑顔を張り付けたまま青筋を立て、男の方を睨みつけていた。
「テメェ・・・どういうつもりだ?あ?」
ナホヤが銃器を置き、男に近づきメンチを切っている。そういえば不良だということを忘れていた。怒りの混ざった声に恐怖を感じた。
「どういうって、それはこっちのセリフなんだけど?俺もそれを狙ってただけ。」
猫を撫でるような声でそう答える男。
「あン・・?これは俺らが貰うから渡さねーよ。この、クズ三つ編みヤロー」
「ふぅん、弟とは違って威勢はいいね~、彼女思いじゃん?」
見下しながらそう答える。
また・・・彼女って・・・・
・・・ん?この二人知り合いなの?
「ナホヤくん、この人って・・・」
ナホヤの耳元でこっそり男の情報を聞き出す。
「ん?ああ、こいつは灰谷蘭。六本木の不良だよ。弟の竜胆と組んでかなりヤバい奴らだ。その証拠に、前に竜胆にいきなり鉄棒で頭殴られて病院送りにされたことがある。」
蘭を睨みながら私にしか聞こえない声で答える。
「えぇ!?だ、大丈夫なの・・・?」
それって、かなり今ヤバい状況なんじゃ・・・