第4章 疑心暗鬼(シリアス)●灰谷蘭、竜胆
「う・・・・・」
目が覚めると、そこはどこかの事務所のオフィスのようだった。
私はソファで横になっていたようで、口に詰められていたものも、縛られていたロープもなくなっていた。
その代わりに両手に鉄の手錠がはめられていた。
まだ、終わっていないんだ・・・
「・・・」
ズキン!!
「ぐ・・・っ」
少し体を動かそうとすると全身に激しい痛みが走り、またドスっとソファに横になる。
「あぁ、起きたの?」
上から声がし、首をうまく動かせないため目線だけを横にずらすと、先ほどの男が立っていた。二人組の長髪の方だ。
男は私の体を持ち上げ、ソファに座らせる体制にする。
「う・・・」
痛みを感じながらも少しも抵抗できない私はされるがままに体を起こされる。
「おーい、兄貴起きたぞ」
後ろを振り向き扉の向こうにいるであろう人に声を掛けた。
すぐに奥の扉は開かれ、もう一人の男が入ってきた。
予想通り背の高い方の男だった。
《兄貴》ということは二人は兄弟なのだろうか・・・。
「あ~あ~、女だってのにひどい怪我だね」
妖艶な笑みを浮かべながら、私の目の前のソファにドカッと座り込む。
体を起こした男も背の高い男の隣に座り、私と2対1で向き合う形になる。
これから起こることは分かりきっている。
尋問か。
拷問か。
またはそれ以上の苦痛か。
なんでもいいが何としても機密情報だけは守り、殺されることだけを願った。
それが死んでいった仲間たちに対する唯一の弔いだった。